肌フローラの書籍を出版している薬剤師。調剤併設ドラッグストアにて4年間勤務し、現在はイギリス在住。テレビなどのメディア対応、観光大使などを経験。医学的根拠に基づいた正しい情報発信をモットーにしている。
ヨーグルトは、最強の菌トレフード。
積極的に食事に取り入れることで、間接的に肌の上に美肌菌が増えていきます。
食事の中に取り入れるだけでなく、ヨーグルトを肌の上に直接塗って、肌表面の表皮ブドウ球菌などの善玉菌を増やすことができると言う報告もあります。
また、ヨーグルトの中に含まれるホエイ(ヨーグルトの上澄み液)には美肌菌増加作用とソフトなピーリング作用があるとも!
ヨーグルトの中の乳酸菌は、腸内では3日〜1週間ほどしか生きられません。毎日こまめにとることで、効果を発揮するので、まとめ食いしている人は改めましょう。
食べるタイミングは食後に100gほどで十分。胃液の分泌が盛んな空腹時では、生きたまま腸に届く量は減ってしまいます。バナナなど食物繊維とオリゴ糖が豊富なものと一緒に食べると、さらに効果が高まりますよ!
日本の食文化には、多くの発酵食品があります。
例えば、代表的な例として納豆や味噌などの大豆製品が挙げられます。他にも漬物や酢などがありますね。これらの発酵食品を生活に取り入れることで、腸の中にいる善玉菌を増やしたり、整えたりすることができます。腸内環境を整えると肌の上にいる美肌菌たちも活性化するのです。
日本酒や甘酒を作るときに使われる、菌の一種である麹(こうじ)菌も美肌育成に一役買ってくれると言われています。
この時注意したいのは、日本酒を直接肌に塗ったり、パックしたりはしないこと。
アルコール成分によって、もともと肌にいた美肌菌たちを減らしてしまい、肌によくない刺激を与えてしまう可能性があります。肌に使用しても問題ないコスメ用の商品を使用しましょう!
納豆のネバネバ(ナットウキナーゼ)はすごいんです。
体に有害な菌だけを攻撃して、体にいい菌を育ててくれるから。どんどん食べましょう!
美肌菌を整えたら、肌を作るための材料が必要になります。
美容意識の高い方の中には、ダイエットのために野菜中心の生活を、と心がけている人も多いはず。
しかし、美肌を作るためにはたんぱく質がたくさん含まれている「赤身のお肉」をしっかり食べることが大切になります。
牛、豚、鶏肉、羊などさまざまな種類のお肉を食べることで、ビタミンや亜鉛、鉄分などのミネラルをバランスよく体の中に取り入れることができます。
野菜だけでは良質なたんぱく質を多く取り入れることは難しいので、積極的に赤身のお肉を食事に追加できるように心がけましょう。日々の食生活が自分のカラダをつくる!ということを意識していきましょう。
とはいっても、仕事もあって毎日自炊というのはハードルが高い…そんな場合は、ランチのメニュー選びなどの際に、ちょっと意識するだけでも違ってきます!
ローズヒップティーやハイビスカスティーにはビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCは、肌のコラーゲンを作るサポートするはたらきや、肌の生まれ変わりを促すはたらきを持つといわれる栄養素です。シミを抑制するはたらきもあると言われていますね。美白ケアを気にしている方ならきっと聞いたことがあるはず。
また、ローズヒップティーには、食物繊維がたくさん含まれており、便秘が改善され、腸内環境を整えると言われています。どちらもノンカフェインなので、夜寝る前に飲むのもおすすめです。
飲むときは、ホットにしましょう。
温かいものを飲むことで身体全体の代謝が上がり、美肌菌のエサになる汗や皮脂も出やすくなります。美白ケアにも腸内細菌にもいいことづくしのホットティーです!
美肌菌と酸化・糖化には、どのような関連があるのか見ていきましょう。
酸化が起こると、活性酸素が肌にダメージを与え、シワやしみができてしまいます。また、糖化はたんぱく質の一種であるコラーゲンに柔軟性がなくなり、肌のハリの低下をまねくことに。
酸化と糖化が進行すると、肌がどんどん衰え、美肌菌が住みにくい環境になっていきます。加えて肌トラブルが起こりやすくなるだけでなく、血流の悪化が起こることで、さらに美肌菌を増やすことができない悪循環に陥ってしまいます。
酸化・糖化が細胞を傷つけ、身体を老化させてしまう厄介な存在だということがおわかりいただけたでしょうか。
しかし逆に酸化と糖化の進行を抑えることができれば、肌の水分量、皮脂量が保たれ、弾力のある、美肌菌が増えやすい環境となります。結果として、美肌菌がしっかりはたらきはじめ、美肌のサイクルが生み出されるのです。
「酸化(さんか)」とは、活性酸素が化学変化を起こすことです。
私たちの身体は酸素を利用してエネルギーを作りだしていますが、酸素を利用すると同時に、活性酸素を体内で生じます。この活性酸素が私たちの細胞を傷つけ、身体の内側と外側の老化、どちらにも影響していると言われています。
身近な表現だと、身体の中の細胞が「錆びた」状態になっているイメージが当てはまるでしょう。
酸化が身体に引き起こす悪影響として、以下のようなものが挙げられます。
ストレス、紫外線、大気汚染、過度な運動などが、体内に過剰な活性酸素を発生させる主な原因と言われています。何もケアせず放置すると、身体の酸化を進行させてしまいかねません。
酸化を抑えるには「抗酸化作用」のある食品を取り入れることが大切です。
食生活を工夫することで、酸化の原因となる「活性酸素」を減らすことができます。疲れやストレスが溜まりやすい人も、酸化を抑える食生活に変えていくことで身体が疲れにくくなります。
食物繊維や発酵食品を積極的に取り入れ、腸内環境を整える
近年の研究で、腸内細菌が抗酸化作用を持つことが判明してきました。腸内環境を整えることで、酸化を予防することができます。発酵食品に含まれる菌の種類は、食品によって違います。いろいろな種類の発酵食品を少しずつ取り入れるようにしましょう。
また、身体の中の腸内細菌が整うと、肌の上にいる美肌菌が増え、整いやすくなります。
抗酸化作用のあるビタミンA・C・Eやカテキン、ポリフェノールの含まれた食材を取り入れる
抗酸化作用のある食材には、抗酸化物質と呼ばれるビタミンA・C・Eやポリフェノールが多く含まれます。
抗酸化物質は、酸化されやすい物質です。活性酸素などによって、私たちの体が酸化されるよりも先に、抗酸化物質が酸化されるのです。「私たちの代わりに酸化を受けてくれている物質」とも言えるでしょう。
抗酸化物質が酸化することで活性酸素が除去され、私たちの細胞は酸化から守られています。
身体を動かす前後には抗酸化食品(野菜やビタミン豊富なもの)をたくさん摂る
激しい運動をすると呼吸量が増え、「活性酸素」が生じやすくなることが報告されています。運動の前後で抗酸化作用のある食事や飲み物を取り入れるように意識するといいと良いでしょう。
(ウォーキングや水中歩行などの軽い運動であれば、身体の中にいる抗酸化酵素が活性化するため、身体の酸化は抑えられると言われています。)
「糖化(とうか)」とは、たんぱく質や脂質が糖と結びつき、老化促進物質であるAGE(糖化最終生成物)を作り出すことです。イメージとしては身体を「焦げ付かせる」という感じが近しいでしょう。
糖化により、細胞が傷ついてしまい、老化が促進します。また、血液中に余分な糖分があると、体内のたんぱく質や脂質と結びついて細胞を変化させます。
糖化の怖いところは、一度起こってしまうと元には戻すことはできないということです。
糖化が身体に引き起こす悪影響として、以下のようなものが挙げられます。
糖化は、酸化と同じく、老化と病気、どちらにも関与すると言われています。
普段から甘いものが好きで、口にする機会が多いという方は、砂糖や炭水化物を多く取りすぎないように注意して生活することが大切です。
糖化の原因となるのは、「血糖値の急上昇」と「糖質の摂り過ぎ」です。身体の中に、糖が余分にある状態を避けることで、糖化を予防することができます。
糖化を抑えるためには、食後に行う軽めのエクササイズが有効です。
食後30分~1時間に、10分程度の軽い運動を行うことで、血糖値の急上昇を防ぐことができます。軽いストレッチやウォーキングなどがおすすめです。甘いものや炭水化物を食べすぎた!と思った時にやってみてください。
抗糖化作用のある食材として、レモンやお酢、オリーブオイルなどが挙げられます。
また、甘いものや炭水化物、揚げ物を食べる時には、食物繊維の多い食材と一緒に食べるようにするといいでしょう。食物繊維の多い食材は、糖の吸収をゆっくりにしてくれるため、血糖値の急上昇を抑えることができ、結果的に糖化を抑えることができます。
食物繊維が多いと言われる代表的な食材には、ひじき、きくらげ、キノコ類、大根、ごま、海藻、あずき、大豆、おから、インゲン豆などがあります。
酸化と糖化を抑えることは、美肌菌の住む肌の環境を整え、美肌菌を活性化することにつながります。
抗酸化作用のある食品や食物繊維の多い食材を積極的に選ぶようにしてみましょう。
また、炭水化物や甘いものを食べる前に野菜や食物繊維を摂ること、ストレスをためないようにすること、食後に軽めのエクササイズを続けることなど、普段の食べ方や生活習慣を少し変えるだけでも酸化と糖化を抑えることにつながります。
始めた日から、すぐに効果を実感することは難しいかもしれませんが、毎日少しずつの積み重ねで、身体も肌も変わっていきます。
将来の病気を予防できるだけでなく、美肌も目指せる食事方法を紹介しました。ぜひ今日から少しずつ実践してみてくださいね。
菌にいいものを食べることも大事ですが、食べ方も大事。
よく噛んで食べると消化を助けてくれるので、結果的に生きた菌が腸に届き、菌トレにつながります。しかし食べすぎは消化しきれず、菌に負担をかけることに。
昔から言われている「腹八分目」「食事はよく噛む」を守ると、菌が喜ぶ環境が作れますよ。
医学博士、(株)コントロール・ラボ 相談役。昆虫・微生物学の研究に従事後、1990年に株式会社コントロール・ラボを設立。
「人体常在菌のはなし 美人は菌でつくられる」(集英社新書)「菌子ちゃんの美人法」(WAVE出版)など、人体常在菌に関する本を多数出版。
毎日食べるご飯は体にはもちろんお肌にもとても大切です。
腸内環境が悪いと便秘になり、腐敗産物が腸内に蓄積されて、それが血液を通して全身に行き渡り、肌トラブルの原因に!
善玉菌を増やす為にも発酵食品などを積極的に日々の生活で取り入れていきたいですね。
30代に入り今までのスキンケアではダメだと感じ、菌トレ基礎化粧品「SiNTO」を自ら開発した生粋の美容マニア。同じ年代の女性に、菌トレの良さを広めたいと思っている。